プロ塾講師の勉強の裏技 (7) 世界1理解しやすい英語ー基本文型(be動詞編)

英文法を簡単に理解しその知識が英文読解にすぐに役立つとしたら、大学受験・共通テスト・TOEIC・英検などの長文が楽に読めるようになります。

【序論】

前回予告していたように今回から『本物の英文法』について書いていこうと思います。まず第1回はBe動詞編です。

理論の良し悪しを決定づけるのは、単純で、より多くの事例を説明できるか否かにかかっています。Simple is best. 以下、説明をわかりやすくするため、準拠する英文法の3種類を(1)規範英文法(2)修正規範英文法(3)二元的二層英文法と名付けて説明していきます。

 

(1)規範英文法とは一般的に学校で教わる英文法のことで、ロイヤル英文法(旺文社・綿貫陽他著)が代表的なものです。

(2)修正規範英文法とは、規範英文法の考え方を最大限に残しつつも、その問題点のみをうまく説明するため部分的に修正を加えた英文法で、私が実際に授業で説明する際に使用している英文法です。現実にこの英文法で説明している英文法書は世の中に存在しないのでご注意ください。

(3)二元的ニ層英文法とは(2)と同様私が考え出した英文法で、Be動詞と一般動詞を最初から区別しておき、さらに基本文型を簡潔に、基本文型の各要素を緻密に構成していくというものです。

 

以下具体的に例文を使って説明します。英文の正確性を期すため例文は私が愛用しているVision Quest(啓林館)、ロイヤル英文法(旺文社)、ジーニアス英和辞典(大修館)のいずれかによっています。

 

【本論】

 

<Ex.1>My  sister  is  a  colledge  student.『私の姉は大学生です。』

 

非常に簡単な英文ですが、これを構造分析すると以下のようになります。

My  sister  is  a  college  student.

  s      v          c

(1)規範英文法(2)修正規範英文法のどちらの英文法でも結論に変わりはありません。(3)二元的二層英文法での説明は後でまとめて説明します。では次の英文はどうでしょうか。

 

<Ex.2> Maria  is  playing  tennis  now. 『マリアは今テニスをしている。』これを構造分析してみます。

 

(1)規範英文法では

Maria  is  playing  tennis  now.

 s     v    o     m

と構造分析され、isが助動詞でplayingが動詞相当句と説明しています。また主語のMariaがIに代わるとisがamになると説明しています。

まず今迄isはBe動詞で述語動詞と説明してきたのに進行形になった途端に助動詞に変わるという説明は苦しいのではないでしょうか。また助動詞は主語の人称と数に影響を受けないと説明してきた大原則をも平気で覆すことになるのではないでしょうか。さらに現在分詞は準動詞で述語動詞にはなりえないと説明しておきながら動詞相当句なる摩訶不思議・曖昧な概念を持ち出して説明するというのも非常に苦しいと言わざるを得ません。

 

(2)修正規範英文法では

Maria  is  playing  tennis  now.

  s       v            c          

と構造分析でき、playingは現在分詞の形容詞的用法の中の叙述用法で補語になり主語の状態を補充的に説明しているのだときちんと解釈できます。

 

<Ex.3> We  were  invited  to  the  party.『私たちはパーティーに招待された。』この文を構造分析してみます。

 

(1)規範英文法では

We  were  invited  to  the  party.

 s            v     m

と構造分析され、wereは助動詞、invitedが動詞相当句と説明しています。これに対しては先程の<Ex.2>の説明で述べた批判がそのまま当てはまります。

 

(2)修正規範英文法では

We  were  invited  to  the  party.

 s       v                c

と解釈できます。invitedは過去分詞の形容詞的用法の中の叙述用法で補語になり主語の状態を補充的に説明しているのだときちんと解釈できます。

 

<Ex.4> The  President  is  to  visit  Kyoto  today.『今日、大統領は京都を訪問することになっている。』 この文を構造分析してみます。

 

(1)規範英文法では

The  President  is  to  visit  Kyoto  today.

      s                         v            o        m

となり、be  to を1つの助動詞と同様のはたらきをする、と説明しています。しかし主語が  I  に変われば  is  が  are  になり、先程と同様に助動詞は主語の人称と数に影響を受けないとする大原則を破る結果となります。

 

(2)修正規範英文法では

The  President  is  to  visit  Kyoto  today.

      s                  v           c

解釈できます。この不定詞は形容詞的用法の中の叙述用法で主語の状態を補充的に説明していると解釈できます。be  to に5つの意味があると説明されますが、本来不定詞自体に未来を表す性質があるので文脈によって細かなニュアンスの違いが生じるにすぎないのです。決してbe  to  自体に5つの意味の違いがあるのではないのです。

 

<Ex.5> The  radio  is  in  my  room.『そのラジオは私の部屋にあります。』最後にこの文を構造分析してみましょう。

 

(1)規範英文法(2)修正規範英文法のどちらも次のようになります。

The  radio  is  in  my  room.

    s             v        m

 

最後のin  my  room  は前置詞句で場所を表す副詞句になっていると説明します。これは一見すると当然で何も問題がなさそうですが、今までの例文のbe動詞の次の語句を形容詞の叙述用法と説明してきたのに場所を表す語句が出てきた途端に副詞で修飾語になるという説明は(1)規範英文法(2)修正規範英文法の最大の弱点です。このような不完全な説明になる根本的な原因は英文法を考える手法がそもそも間違っているからに他ありません。より具体的に言うと今までの英文法はその構造を考えるに際しヨーロッパ大陸における演繹的手法に基づき理論構成を行ってきたため多くの矛盾を抱え込む結果となっているのです。英語はイギリス・アメリカを中心とする言語で、本来、帰納法的手法と親和性があるのであり根本的に理論構成の仕方を変えなければうまく説明しきれないのです。このことは英語という言語学を離れ政治学歴史学・法解釈学・法制度学など他の学問を学んだ事のある者からすれば至極当然のことなのですが、どうも英語しか学ばない人たちには理解できないことなのかもしれません。

以上を踏まえてEx.1~5の例文を(3)二元的二層英文法で解釈してみます。

<Ex.1>My  sister  is  a  colledge  student.

                           s         v               e

<Ex.2> Maria  is  playing  tennis  now.

                         s      v               e

<Ex.3> We  were  invited  to  the  party.

                    s       v                   e

<Ex.4> The  President  is  to  visit  Kyoto  today.

                             s            v                 e

<Ex.5> The  radio  is  in  my  room.

                         s          v           e

この様にすべて同一文型で説明できるのです。スッキリ!(eは説明語を表す)

以上を踏まえて(3)二元的二層英文法の考え方を紹介すると、これまで述べてきた英文のBe動詞の次に来る語句はすべて主語の状態を補足的に説明するものにすぎないので、統一的に説明語なる概念で解釈し、その構成品詞も叙述詞と定義し直すのが最も単純で論理的に矛盾のない理論構成だと思います。

その他の概略だけを述べると従来の形容詞の限定用法と副詞の限定用法の一部を修飾語で限定詞と解釈し、従来の形容詞の叙述用法と副詞の文末に来る場所・時・状況を表すものを説明語で叙述詞と解釈し直すことで今まで中途半端だった理論がすっきりと理解できるのです。ドイツの演繹法的手法からイギリス・アメリカの帰納法的手法への転換を行わない限り真の英文法を構築することはできないものと考えます。

次回以降、一般動詞その他、英文読解法や現代国語読解法、算数の本当の解き方なども書いていきたいと思っています。